体外受精での着床率・妊娠率を向上するためにできること
世界で1番導入されている着床の窓検査、ERA
体外受精での着床率・妊娠率を向上するためにできること
世界で1番導入されている着床の窓検査、ERA
子宮内膜には受精卵が着床できるための条件があるとされており、特定のタイミング以外には受精卵を受容できない(着床できない)と言われています。
子宮内膜が胚が受け入れるために最適な状態となり、受精卵が着床可能になるタイミングのことを「着床の窓」とよびます(Window of implantation/WOI)。
受精卵が正常に子宮内に着床できる能力のことを着床能とよびますが、子宮内膜側にもこの着床能というものがある、ということは近年まで知られていませんでした。
着床の窓は、検査によって特定することができます。
世界で初めて開発された、着床の窓を特定するための遺伝子検査、ERAによって、71%の患者様が1年以内に妊娠し出産しました。*1
ERA検査では、子宮内膜組織から抽出したRNAを解析し、着床能に関連する236個の遺伝子の発現レベルに基づいて着床の窓を特定します。*2
着床の窓に合わせて胚移植を行うことで、妊娠率が向上することが分かっています。
ERA検査は、
*1 Simón et al. A 5-year Multicenter Randomized Controlled Trial of In Vitro Fertilization with Personalized Blastocyst Transfer versus Frozen or Fresh Transfer. Reproductive BioMedicine Online (2020). DOI:10.1016/j.rbmo.2020.06.002
*2 ERA検査の解析に用いられる238個の遺伝子は、特許によって保護されています。
24時間単位の結果では、流産や移植失敗の可能性が高まります。
ERA検査の解析精度は、進化し続けてています。これは、世界で1番利用されている着床の窓検査であるERAだからこそできること。
世界中から集まる大量のデータを解析することで得られる知見を活用して、より正確な検査結果を導き出すための分析技術を磨いています。
LHサージから7日前後、またはプロゲステロン投与開始から5日前後に「着床の窓」にあたる時期が訪れるということは、これまでも分かっており、体外受精もこの時期に合わせておおまかに調整されていました。
しかし現在では「着床の窓」には、少し早い、遅い、といった個人差があるということが分かっています。
体外受精において、グレードの良い受精卵を移植しているのになかなか着床に至らないという場合、原因は様々考えられますが、その一つにこの「着床の窓」がずれている可能性があります。
これまでは試行錯誤で何回か試しながら、着床の窓と思われるタイミングにあわせて胚移植を試みることしかできませんでしたが、ERA検査によってご自身の「着床の窓」を特定できるようになったことで、お一人おひとりに最適なタイミングで胚移植を行うことができるようになりました。
特許取得済み、世界中のクリニックに導入されている「着床の窓」検査は、アイジェノミクスのERAだけです。
ERA検査は、スペインのIgenomix(アイジェノミクス)社が特許を取得している、生殖遺伝子検査です。ERAは「Endometrial Receptivity Analysis」の略で、日本語では「子宮内膜着床能検査」といいます。着床の窓を特定するために不妊治療クリニックで用いられる検査で、いまでは世界中で3,500施設以上ものクリニックで導入されています。
2014年にスペインの施設から原因不明の反復着床不全(グレードの良い受精卵を複数回移植しても着床に至らない場合)の原因の多くが、胚盤胞移植を行うタイミングと「着床の窓」がずれているためであるという報告が発表されました。実際に、ERA検査をお受けになる女性の約50%が、着床の窓に合わせて移植時間を調整しています。
最新のランダム化比較試験*1でも、ERA検査の結果に従って胚移植を行った患者様のほうが、ERA検査をしていない患者様よりも妊娠率が高くなるという報告があり、10人中7人もの患者様が1年後に出産しました。
ERA検査の結果は、大きく分けると、受容期(Receptive)と非受容期(Non-Receptive)に分類することができます。
検査結果がReceptiveであれば、ERA検査を行ったタイミングが着床の窓と合っていたということなので、胚移植のタイミングを調整する必要はありません。
もしNon-Receptiveという結果が出た場合には、着床の窓がずれていますので、より着床しやすい時期に胚移植を行えるようタイミングを調整する必要があります。
ERA検査の結果6パターンの解説不明点・ご質問のある方は、お気軽にお問合せください。
ERA検査は、アイジェノミクスが提供しているエンドメトリオ検査に含まれている検査項目の一つです。
ERA検査のみでご使用いただくこともできますが、EMMA・ALICE検査と組み合わせることで、子宮内膜の健康状態を総合的に解析することができます。
ERA・EMMA・ALICEを同時にお受けいただく場合、検体採取が一度だけで済むため負担が少なくおすすめです。
ERA・EMMA・ALICE検査を行う際には、実際の胚移植と同様に、自然周期もしくはホルモン補充周期によって子宮内膜を整えていきます。そして、普段胚移植を行っているのと同じタイミングで、移植をする代わりに子宮内膜組織を採取します。なお、この周期に胚移植を行うことはできません。
子宮内膜の採取には、ピペールやエンドサクションと呼ばれるETカテーテル程の細さの器具を使用します。検査時の痛みは人によって差があるようですが、月経痛のような痛みがある方が多いとされています。事前に鎮痛剤の投与や局所麻酔を行うことも可能ですので、担当医とご相談ください。
検査自体は、海外で行われるため検査結果がわかるまでに2-3週間かかります。
こんな時は胚が着床しにくくなっているかもしれません。
子宮内膜は、胚が着床し、赤ちゃんへと成長していく大切な場所です。大切な胚を移植する際には、胚を受け入れるための最適な子宮内環境が整っていることが大切です。
ERA・EMMA・ALICE検査でご自身の子宮内環境を知ることで、妊娠の可能性を大幅に高めることができます。
ERA検査結果を利用した胚移植で最も重要なことはERA検査時と胚移植時で同じことを再現することです。そのため、検査時に「ERA検査に影響する可能性のある薬剤」を服用した場合は、移植周期にも同様に服用していただく必要がございます。
ERA検査に影響する可能性のお薬には、下記のようなものが含まれます。
免疫抑制剤(タクロリムス)・抗悪性腫瘍薬(ピシバニール)・漢方・生薬・ステロイド(飲み薬,注射,塗り薬,吸入薬)・高プロラクチン血症治療薬(カバサール)・甲状腺治療薬(プロパジール/チウラジールなど)・黄体ホルモン剤の追加投与(別の黄体ホルモン剤に変えるなども含む)・排卵誘発剤(ブセレキュア/リュープリンなど)など。
詳しくはこちら
https://ameblo.jp/igenomix-japan/entry-12576082017.html
流産によって着床の窓が変わることはありません。
基本的には、出産によって着床の窓が変わることは無いとされているのですが、可能性がゼロとは言い切れません。
また年齢と着床の窓については関連が指摘されることもあり、二人目をご妊娠される際に、一度目のご出産よりも年齢がかなり上がっているといった場合には、前回よりも着床の窓が後ろにズレている可能性があります。
現在のIgenomixの研究によると、3年程度は体調の変化等によって着床の窓が変わることはないとされています(例外として、10キロ前後以上の大きな体重の変動が起こり、BMIが大幅に変化した場合には、変わる可能性があります)。
子宮内膜における常在菌の種類とその割合を調べた結果、ラクトバチルス属の菌の割合が90%以上を占めている人では、着床・妊娠率が高くなることが分かっています。*4
ラクトバチルスが含まれている膣剤を使用し、直接菌を増やしていただくことを推奨しています。
まずは移植直前の7~10日間、しっかりとラクトバチルス膣剤をご使用いただくようお願いしております。それよりも長期間ご使用いただいても問題ございません。
タイミング、または人工授精時のラクトバチルス膣剤のご使用についても、同様となります。タイミングを取られる場合には、タイミング後、お休み前の安静にできるお時間に膣剤をご使用ください。
EMMA/ALICE検査だけを受ける患者様は、自然周期で検査をしていただいて構いません。その場合は、月経周期の15~25日目に検体採取を行ってください。
移植を行う際と同様の条件で検査をすることは望ましいですが、必須ではありません。
ALICE検査では下記の10種類の菌を調べています。
腸内細菌科、エシェリヒア属、クレブシエラ属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、エンテロコッカス属、ナイセリア属、マイコプラズマ属、ウレアプラズマ属、クラジミア属
ALICE検査では、慢性子宮内膜炎に関連する主な細菌10種類をリストアップし、その細菌があるかどうかということのみを見ているのに対して、EMMA検査では、子宮内の細菌を網羅的に調べています。
その結果、EMMA検査では、善玉菌や悪玉菌、その他良いとも悪いとも言えない菌(日和見菌)など様々な菌が検出されます。
子宮内は酸性であるほうが望ましいため、例えばお腹に優しい善玉菌として有名なビフィズス菌のように、悪さをする菌でないけれど子宮内の環境を中性に傾ける働きのある菌などが多く検出された場合には、抗生剤治療が推奨されます。
詳しくはこちら
https://ameblo.jp/igenomix-japan/entry-12600121184.html
*1 Simón et al. A 5-year Multicenter Randomized Controlled Trial of In Vitro Fertilization with Personalized Blastocyst Transfer versus Frozen or Fresh Transfer. Reproductive BioMedicine Online (2020). DOI:10.1016/j.rbmo.2020.06.002
*2 Ruiz-Alonso et al. Fertil Steril. 2013. Simon et al. Fertil Steril. 2016.
*3 Ruiz-Alonso et al., The endometrial receptivity array for diagnosis and personalized embryo transfer as a treatment for patients with repeated implantation failure. Fertility and Sterility, 2013;100(3):818-24. 10.1016/j.fertnstert.2013.05.004.
*4 Moreno et al, AJOG 2016. Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure.